このシリーズでは、ペコラビールの開店1周年(2024年1月28日)を記念して1stバッチから12thバッチ(12thバッチのリリースはこれから)までを振り返る記事を連載中です。製造過程やビールへの想いなどをご紹介しています。
2025年1月31日(金)ペコラビール開店1周年イベント開催第11回目は「#011 Lana」です。このLanaはペコラビール初となるHazy。
濁りのある見た目に苦味がなく弾けるようなホップアロマとフレーバー。大手ラガービールの正反対のスペックであるこのHazy IPAは、別名New England IPAなどとも呼ばれています。
その名前にもあるように起源は、アメリカ北東部ニューイングランド地方のThe Alchemist Breweryがつくった『Heady Topper』というDouble IPAだと言われています。ホップの香りを最大限に引き立てようとした結果、副産物的に濁りのあるビールになりました。
この濁りのある見た目と香りの豊かさは瞬く間に話題に。「あまりにも需要があるため国内はおろか醸造所から出荷されることさえない。少量しか醸造されないこのビールは、発売日になると醸造所の柵の周りに買い手が列を作るほどの熱狂具合だった!」と、The Alchemist Breweryは当初の様子を振り返っています。
この伝説的なビールは、さまざまな醸造所に大きな影響を与えました。Trillium Brewing や Other Half Brewing などもHazy IPA を醸造し、このビアスタイルの認知はさらに加速して広がりました。そして現在もその人気は衰えることなく、日本でも UCHU Brewing や West Coast Brewing などのブルワリーが個性豊かな Hazy IPA を手がけ、未だ多くのファンに愛されています。
そんな爆発的な人気があるHazy IPAですが、ペコラビールでも「つくってほしい!」という声を多くの方からいただいていました。我々もつくりたいと思っていましたが、リリースするならしっかりとおいしいビールにしたい。そのため実はしばらく様子を見ていました。
Hazy IPA は小麦やオーツ麦を大量に使用するため、糖化工程において麦汁の目詰まりが発生するリスクがありました。またホップを大量に使用することで、酸化や劣化を防ぐ工夫も求められました。酸化・劣化防止の対策については 3rdバッチまでに確立できていましたが、目詰まりを防ぐには醸造設備の「癖」をしっかり把握する必要がありました。
バルブの開閉具合やタイミング、ポンプの流量、ミキサーの速度と操作のタイミングなど、スムーズに透き通った麦汁を得るための設備運用を模索してきましたが、これまでの10thバッチで得たデータや経験の蓄積によりかなり自信を持てるようになりました。さらに麦芽の挽き具合と糖化効率、水質調整についても理解が深まり、よりクリーンなビールを安定して醸造できる手応えを感じています。
Hazy IPAをつくる準備は万端。今回はすっきりめに飲めるHazy IPAを目指しました。タンパク質やβグルカンを含む小麦やオーツ麦を使用して、やわらかい口当たりと霞みのある見た目に。
心配していた目詰まりも問題なく、糖化工程を終えることができました。ワールプールホッピングでCryoホップを2種類入れて、話題のPomonaイーストでホップのトロピカルな香りをブーストしました。
Malt:Extra Pale, Wheat, Flaked Oats, Naked Oat
Hop:Columbus, Cryo Mosaic, Cryo Idaho7
Yeast:Pomona
しかし最後にミスが。濁りを強める目的で1回目のドライホッピングはpHが下がり始める発酵しはじめに行ったのですが、ホップを加えたことで泡立ちが止まらず投入したホップがスパンディングバルブから殆ど出てしまいました。もし蓋を開けて投入をしていたら「Hop Volcano」というビールがタンクから吹き出すことになっていたかもしれません。密閉した状態でのドライホップだったので今回はセーフでした。2回目のドライホッピングは問題なく香りをつけることができました。
グラスに入れた際の見た目はクリーミーな乳白色。鼻を近づけるとすぐにトロピカルさやシトラシーなアロマが感じられ、気分が上がります。一口飲むとパイナップルやマンゴーを連想させるホップフレーバー。飲み込むと舌の上にさらりとしたシルキーな感触が残り、柔らかい飲み心地です。ホップ疲れしない程度に飲みやすく、また飲みたい!と思えるようなビールに仕上がりました。
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以上、「#011 Lana」についての振り返りでした。
次回の記事もお楽しみに!
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