【ブルワーインタビュー】不動産業界からビール醸造家へ。未経験ブルワーが初レシピに込めた想い

醸造タンクやビールと向き合い、黙々と作業を進めるブルワー(醸造家)。タップルームのガラス越しに見える真剣な眼差しに、「この人たちは一体どんなことを考えながらビールを造っているんだろう?」と感じたことはありませんか?

今回はこの業界に未経験で飛び込み、現在は主に醸造業務の中心を担う岩澤 昂平(以下、Kohei)さんにインタビューしました。

異業界からの転身ストーリー、未経験ならではの苦悩、そして自身初のオリジナルレシピ「Ouessant(ウェサン)」の誕生秘話に迫ります。

1杯のビールが開けた新しい扉

──前職は不動産会社で約9年間勤務されていたそうですが、クラフトビール業界を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

Kohei:きっかけは2023年9月、新婚旅行で訪れたハワイでした。現地で飲んだKona Beerの「BIGWAVE Golden Ale」のフルーティーさに衝撃を受けたんです。「こんなに美味しいビールがあるのか!」と感動し、帰国後は近所のビアバーやブルワリーを巡るようになりました。

次第に「飲む」ことだけでなく、「ビールがどうやって造られるのか」という過程そのものに興味が湧き、実際に自分自身で造ってみたいと転職を決意しました。

運命の出会いは「ビアフェス東京」

──数あるブルワリーの中で、なぜペコラビールを選んだのですか?

Kohei:日本地ビール協会主催の「ビアフェス東京2025」にボランティアとして参加した際、初めてペコラビールを飲みました。その味が美味しくて、「ここで働きたい!」と強く思ったのが決め手です。

(写真提供:ビアフェス東京2025)

「華やかさ」の裏にある泥臭いリアルと探求心

──未経験でのスタートは苦労も多かったのではないでしょうか?

Kohei:最初はまさに手探りでした。専門知識ゼロからのスタートだったので、指示の言葉すら理解できない状態でしたね。

まずは教えられた手順を確実にこなすことから始め、一つひとつの作業の意味や設備の構造を自分で調べて理解を深めていきました。

また、クラフトビールの醸造というと「レシピ考案や仕込み」といった華やかなイメージを持たれがちですが、実際には週の大半が設備や器具の徹底的な洗浄・衛生管理です。仕込み作業自体は週1回ほどです。

体力的に厳しい面もありますが、日々の地道な作業の積み重ねがビールの品質に直結します。どうすればより高品質なビールを届けられるか、突き詰める研究甲斐のある仕事だと感じています。

客観的な視点を求めて。ビアジャッジ資格への挑戦

──ビールの品質を探求される中で、今年は「ビアジャッジ(※)」の資格も取得されたそうですね。体系的に学んだことで、ビールに対する印象や向き合い方に変化はありましたか?

※ビアジャッジは、ビアテイスターの上位資格にあたり、ビール審査会等において、ビールの審査をする知識と官能評価能力があると認められた方に与えられる資格です。

Kohei:そうですね。資格を取る前は、単純に「美味しいか」「自分の好みに合うか」という感覚的な視点でビールを楽しんでいました。

でも、体系的に学んでからは、渋味やオフフレーバー、ドリンカビリティといった技術的な部分に意識して飲むようになりました。その上で「これは特に完成度が高いな」と感じたビールに出会ったときは、どのようなレシピや醸造工程が組まれているのか、その工夫を深く調べる癖がつきましたね。

念願の初レシピ「Ouessant」誕生秘話

──今回、ご自身初となるオリジナルレシピ「Ouessant(ウェサン)」を考案されましたね。

Kohei:はい。「ホップが効いたIPAでありながら、するすると何杯でも飲めるビール」を目指してスタイルを決めました。低アルコールスタイルの場合、どうしても口当たりが水っぽくなりやすいのが難点です。

そのため、飲みごたえやボディ感を損なわないバランス調整には苦労しました。その一方で、ホップの組み合わせや投入タイミングを考案するプロセスは刺激的で楽しかったです。

これからのペコラビールと描く未来

──今後、挑戦してみたいことや展望を教えてください。

Kohei:自分自身、実はそこまでお酒が強くないんです(笑)。だからこそ、Session IPAやBitter、Hazy IPAなど、低アルコールでも満足感のあるスタイルを色々造ってみたいですね。

また、特定のスタイルに偏らず多様なビールに挑みながら、醸造技術だけでなく原材料やパッケージングの知識も深め、ペコラビール全体の品質向上に貢献していきたいと考えています。

おわりに

不動産業界という全く異なる世界から、未経験でクラフトビールの醸造へ飛び込んだKohei。

「華やかな仕事」と思われがちなブルワーの裏側には、日々の徹底した設備洗浄や衛生管理という、地道で泥臭い現場のリアルがありました。しかし、その地道な作業一つひとつを「研究しがいのある面白い仕事」と捉え、真摯に向き合う姿勢こそが、ペコラビールの品質をしっかりと支えています。

初のオリジナルレシピとなった「Ouessant(ウェサン)」には、「するすると美味しく飲んでほしい」というKoheiらしい優しさと、細部まで計算されたこだわりが詰まっています。

余談ですが、このOuessantは常連のお客様からは「Koheiスペシャル」という愛称で呼ばれています。お客様から「Koheiスペシャルください!」と言われると、我々スタッフはほっこりしています。

タップルームから見えるガラス越しの真剣な眼差しの奥にある、ビール造りへの温かな情熱。ペコラビール直営店「ペコラ ビアキッチン」にお越しの際は、ぜひ彼が想いを込めて仕込んだ1杯を味わいながら、ブルワーたちの手仕事に思いを馳せてみてください。

ブルワーKohei 初レシピ「Ouessant(ウェサン)」商品情報

商品名:#063 Ouessant
Beer Style:Micro IPA
ABV:3.0%
IBU:30

Mosaic、Cryo Loral、Cryo Amarilloのホップを組み合わせ、明るい柑橘香を中心にフローラルでほのかにトロピカルな香りを重ねました。3.0%の軽やかなボディに穀物のやさしい風味とほどよい苦味。渋みを抑えた滑らかな飲み口で、爽やかでみずみずしい後口を楽しめます。ペコラビール初となる低アルコールIPAは、ブルワーKoheiによる記念すべき初レシピ。世界最小とされるフランス・ウェサン島原産の羊「Ouessant」から命名。

提供場所:ペコラビール直営店「ペコラ ビアキッチン」

#063 Ouessant

飲食店・酒販店様向けに樽の業務用販売も行っております。
クラフトビール卸売ECサイト「Best Beer Japan EC Platform」

<編集:ペコラビール広報担当>