このシリーズでは、ペコラビールのちょっとしたこだわりを紹介しています。
第2回目は、ビールを注ぐ“グラスの洗浄”についてです。
丁寧に時間をかけて製造されたクラフトビールをさらにおいしく飲んでいただくため、ペコラビールはビールをお注ぎするグラスをキレイな状態に保つことを重視しています。
グラスにはさまざまな汚れが付着します。
汚れには“無機物”と“有機物”の2種類が存在すると考えていて、グラス内側に張り付くような気泡を発生させたり、グラス自体をくすませてビールの見た目を損なってしまったりします。
どんなに料理がおいしくても、油っぽい食器や黒ずんだ食器に乗って出てきたら、一気に気分も落ちてしまいませんか?ビールのおいしさもきっと器からくると考えます。
無機物汚れは主に水道水に含まれるカルシウム、マグネシウム、鉄分など、ミネラルがグラス表面に堆積してできる、いわゆるウロコや水垢と呼ばれるものです。
水垢が堆積すると見た目を損なうだけでなく、グラスの凹凸と表面積が増え、グラスの内壁に無駄な気泡を発生させてしまいます。
有機物汚れは口紅やハンドクリーム、そして特に食べ物由来の油分です。
もちろん食器用洗剤で洗浄を試みればある程度は落ちるのですが、油をたくさん含んだスポンジや、食洗機で油が付着した食器類と一緒に洗浄した場合は取りきれないことがほとんどです。
上記の無機物と有機物の汚れの付着を未然に防ぐため、グラス洗浄は下記の工程を実施しています。
ペコラビールでは、ドリンク専用のシンクと、フード専用のシンクに分けて運用しています。こうすることで余計な油分がグラスやスポンジに付着することを未然に防いでいます。
また、ダスターや手拭き用の布巾についても、緑色はドリンク専用、赤色はフード専用と分けることで、意図しない油の付着も予防しています。
お客様から返却されたグラスはクエン酸水に漬け込みます。
グラスに付着した有機物汚れが乾燥して固着するのを避けるだけでなく、グラスのすすぎと自然乾燥の際に付着してしまうミネラル分を少しでも分解し、水垢の堆積を防いでいます。
グラス専用のシンクでは、グラス用のスポンジと無香性の食器用洗剤でよく泡立てて丁寧に手洗いしています。
グラスの全て(飲み口、グラスの側面と底面、持ち手、グラスの足)に付着している可能性のある有機物汚れは、食器用洗剤の界面活性剤と豊かな泡で浮かし物理的に取り除きます。
泡をすすいだあとのグラスは、繊維が付着する可能性のある布巾では拭き上げず、グラスホルダーに逆さに吊り下げて自然乾燥をさせています。
なお、これらはペコラビール店主が修行先の醸造所で学ばせていただいた大切な教えのひとつです。
おいしいクラフトビールを提供するには、グラスをキレイな状態に保つといった基本的なこと以外にも、保存方法や注ぎ方などといった重視すべきポイントがたくさんあります。
ペコラビールは今後もグラス洗浄といった基本を大切にしながら、可能な限り最高の状態のクラフトビールを提供できるように精進してまいります。
以上、ビールグラスの洗浄についてでした。
次回の内容もお楽しみに!